相続税について(相続登記の前提知識)
相続登記の前に知っておきたい相続税のこと
相続税の一般的な情報や、相続登記を行うときに知っておくべき知識を掲載しています。
特に、基礎控除を超える方は、税理士へのご相談後に登記を行うことをおすすめします。(小規模宅地の特例の検討など)
1.基礎控除以上の方は相続税に注意
相続税は、遺産総額が基礎控除の金額を超える方にかかります。
基礎控除を超えないのなら、相続税のことは気にしなくて構いません。(ただし、名義預金や生前贈与加算の問題はあります。)
計算方法は以下の通りです。
基礎控除
3,000万+法定相続人の数×600万
例えば、相続人が妻と子2人だと、3,000万+3×600万=4,800万です。
遺産総額が4,800万円以下の場合は、相続税はかからず、申告も不要です。
平成27年改正で基礎控除が下がりました
平成27年1月1日までは、以下の計算でした。
基礎控除(平成27年改正前)
5,000万+法定相続人の数×1,000万
現在は、改正前の6割です。このため、相続税申告が必要な方は増加しています。
相続放棄と養子の注意点
基礎控除を求める際の「法定相続人」について、民法と異なる点があります。
相続放棄をした者について、民法上は相続人ではなくなりますが、人数にカウントします。
また、養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までしかカウントできません。(例外あり)
2.不動産の評価方法
遺産総額を考えるうえで、不動産は次のとおり計算します。
実際の売却価格は関係ありません。
土地
土地は、路線価方式または倍率方式で評価します。
亡くなった年度の評価を用います。
路線価は「この道路に面している土地は1平方メートルあたりいくら」と定められたものです。(厳密には土地の形状や接道数などによる補正があります。)
倍率方式は、路線価が設定されていない地域で、固定資産税評価額の何倍とするかが定められています。
路線価と倍率は、ホームページに掲載されていますので、ご自分でも調べることができます。
家屋
家屋は、固定資産税評価額をそのまま用います。(貸家を除く)
3.相続方法で相続税が下がる特例
基礎控除を超える場合でも、相続する方法によって相続税評価が下がる特例があります。
特例により相続税が0円になる場合でも、申告は必要です。
小規模宅地の特例
小規模宅地の特例とは、被相続人が居住や事業に使っていた土地を、同居親族など一定の条件を満たす方が相続する場合、
土地の評価を減額できるものです。
要件が複雑ですので、税理士への相談がおすすめです。
配偶者の税額軽減
配偶者が相続する額が1億6000万円までの場合は、配偶者に相続税はかかりません。
ただし、二次相続のことも考える必要があります。こちらも税理士への相談がおすすめです。
4.申告期限と登記について
相続税は、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」に申告しなればなりません。
納税の期限も同じです。
提出先は、被相続人の最後の住所地の管轄税務署です。
税申告と登記の順番はどちらでも可
相続税の申告期限と、登記のタイミングは無関係です。遺産分割協議書ができた段階で相続税の申告をし、あとでゆっくり相続登記や預金の解約を行っても問題ありません。
相続登記の期限は3年ですので、忘れずに登記を行ってください。
期限を過ぎたとき
申告が遅れた場合、無申告加算税というペナルティがあります。
税務署から指摘されて申告した場合と、自主的に申告した場合で税率が異なります。
納付が遅れた場合は、延滞税が課されます。
相続税の基礎知識
基礎控除をこえる場合は、原則として税理士または税務署への相談をお勧めしております。
以下に参考となる情報を掲載いたします。
計算方法
計算の流れ
ポイントは、法定相続分の割合で相続したと仮定してから税率をかける点です。
1,まずは遺産全体の課税価格を計算します。
2,基礎控除額を引いて、課税遺産総額を求めます。
3,課税遺産総額を、法定相続分の割合で分けたと仮定して、各相続人の取得金額を計算する。
4,3に税率をかけて、各相続人の相続税を算出する。
5,各相続人の相続税額を合計し、相続税の総額を求める。
6,実際の取得額に応じて、相続税総額を割り振る。
税率
上記の通り、相続税の税率は、課税遺産総額にそのまま乗じるわけではないことに注意が必要です。
生命保険について
みなし相続財産として課税財産となります。
生命保険金で受取人に相続人が指定されている場合、民法上は遺産ではありません。
しかし、相続税の計算上は、みなし相続財産として計上しなければなりません。
死亡退職金についても、同じ扱いとなります。
一定額までは非課税です。
生命保険金には一定の非課税限度額が設けられています。
500万円×法定相続人の数=非課税限度額
全相続人が受け取った保険金の合計が上記を超えるとき、超える部分が課税対象となります。
相続時精算課税を利用していた場合
贈与財産を相続財産に加算します。
相続時精算課税を利用していた場合は、その当時の贈与財産の価額を相続財産に加算したものが課税財産となります。
そして、算出した相続税額から、納付済みの贈与税額を引いた金額を支払うこととなります。
結果がマイナスになる場合は、還付を受けることができます。