贈与
相続争いの予防、相続税対策、家族への支援のために。
無償で(お金を払わず)不動産の名義を変えること。これを「生前贈与」といいます。生前贈与によって、将来の相続争いを予防したり、相続税対策をしたりすることができます。
しかしポイントを押さえなければ、思わぬ税金がかかったり、逆に相続争いの原因になることもあります。
特に贈与税は丁寧に検討してから登記しなければ、取り返しがつかないことになります。税理士と同席してのご相談も可能です。税金についても不安な方は、お気軽にご相談ください。

- 高齢なので、後々のために子に名義変更したい。
- 配偶者控除を使って、妻に名義を変更したい。
- 数年に分けて、毎年少しずつ持分を移したい。
1.贈与登記の取り扱い事例
過去の案件から、代表的なものを挙げています。
ただし、以下はあくまで私の事務所の対応です。事務所によって異なる場合があります。
よくあるケース
親子間の贈与(相続時精算課税)
司法書士が全員と面談する必要はありません。集合する必要もありませんので、書類は郵送で回してください。
夫婦間の贈与(配偶者控除)
追加料金は不要です。オンライン申請で対応するためです。
祖父母から孫への贈与
必要書類が増えることがありますが、話し合いさえできていれば問題ありません。
兄弟間の贈与
代表者名義にして売却できます。税金や協議書の書き方に注意。不動産会社もご紹介できます。
毎年少しずつ持分を贈与
集める戸籍が増えるのと、遺産分割協議書の書き方に注意します。
相続と同時に行う贈与(持分の整理)
必要に応じて、税理士をご紹介します。相続税がゼロでも、申告は必要なことがあります。
2.贈与税について
贈与税には、暦年課税と相続時精算課税という二つの課税方法があります。相続時精算課税を選ぶと、暦年課税には戻れません。
(概要を記載していますが、詳しくは税務署にご確認いただくか、税理士にご相談ください。ご紹介可能です。)
暦年課税(原則)
1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産に課税されます。
110万円の基礎控除があり、この金額以下なら贈与税がかかりません。
誰から誰への贈与かにより、2種類の税率があります。
相続時精算課税(選択時)
こちらは暦年課税と違い、選択時に適用されます。税金がかからなくても税務署へ申告しなければなりません。
こちらを選ぶと、生涯で合計2,500万円までは課税されません。
ただし超えると一律20%で課税されます。
ポイントは、その名のとおり相続時に精算されることです。
相続税を計算するときに、この制度を使った贈与財産の額を相続財産に加えます。
そして、計算した相続税額から納付した贈与税額を引きます。
また、贈与する人ともらう人に年齢などの条件もあります。
2,500万円まで非課税と魅力的ではありますが、とても複雑な制度です。
使うのであれば、事前に税務署や税理士に確認することをお勧めします。
配偶者控除(特例)
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産(または取得のための資金)を贈与したときは、暦年課税の基礎控除110万に加えて2,000万円までは非課税となります。
これも相続時精算課税と同じで、税金がかからなくても税務署へ申告しなければなりません。
3.よくあるご質問
贈与登記についてのよくある質問をまとめました。
- 親から贈与を受けますが、親が高齢です。代理で手続きできますか?
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代理での手続きはできません。必ずご本人にお会いして意思を確認させていただきます。
来所が難しければ、出張対応いたします。
認知症等により判断能力が欠けている場合は、贈与できません。
場合によっては、判断能力があるという医師の診断書を手配します。(後日のトラブル防止のため)
- 住宅ローンが残っている不動産を贈与できますか?
-
銀行の承諾が必要なことが多いです。(抵当権設定時の契約書をご確認ください。)
完済後に贈与するか、承諾を得ることをお勧めします。
- 借金があります。差押えを回避するために贈与できますか?
-
一定の場合には、贈与が取り消される可能性があります。(詐害行為取消)
また、犯罪(強制執行妨害目的財産損壊等罪)に該当するおそれがある場合は、受任できません。
- 権利証をなくしてしまいましたが、贈与できますか?
-
可能です。事前通知という方法を使えば、追加費用はかかりません。
詳しくは面談時にご説明します。
4.贈与登記の必要書類
初回持ち物
以下をお持ちくだされば、詳しく見積もりできます。(揃えられる範囲で結構です。)
1. 固定資産税納税通知書 | 毎年5月頃に送られてきます。 詳しくはこちら。 |
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2. 権利証 | 初回はなくても構いません。登記申請時には必要です。紛失の場合は、事前通知という制度を使います。 |
3. 認印 | |
4. 身分証明書 | 運転免許証、保険証、マイナンバーカードなど。 |
面談後に集めていただく書類
事案によって異なるため、初回にご案内します。
印鑑証明書以外は、こちらで集めることもできます。
5.費用
司法書士の料金と以下の税金がかかります。登録免許税は司法書士がお預かりして、法務局へ納めます。
司法書士の料金
一般的な贈与登記であれば、5万円程度です。(贈与契約書作成を含む)
贈与する方の住所変更登記が必要な場合は、1万円程度加算となります。
登録免許税
登記の税金です。法務局に納めます。
税率は不動産評価額の20/1000です。(例えば、評価額が1000万円なら20万円)
評価額は、固定資産税納税通知書に記載があります。
贈与税
詳しくは上記「2.贈与税について」をご参照ください。
司法書士は税務相談には応じることができません。必要に応じて、税務署や税理士にご確認ください。
不動産取得税
その名の通り、不動産を取得した方にかかる税金(県税)です。築年数によっては軽減があります。
詳しくは各都道府県のホームページ等をご参照ください。
不動産取得税について(兵庫県ホームページ)
6.ご相談の流れ
完了までは、通常1か月程度です。
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01. お問い合わせ
まずは電話またはメールでお問い合わせください。
電話では、「ホームページを見ました」とお伝えいただけるとスムーズです。面談をご希望であれば、日時を調整します。ご不明な点がありましたら、遠慮なくお尋ねください。 -
02. 面談
初回は、当事者の一人がお越しいただければ結構です。(署名する時には相手方にもお会いします。)
贈与では税金の検討が必須です。必要に応じて税務署へ相談していただくか、税理士をご紹介します。また見積書を作成しますので、納得いただけましたらご依頼ください。必要書類をご案内します。
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03. 必要書類の収集
面談時ご案内した必要書類(住民票や印鑑証明書など)を集めていただきます。
それらをもとに、司法書士が登記に必要な押印書類を作ります。
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04. 署名押印
原則として、贈与する方と贈与を受ける方が揃って、ご署名していただきます。
後々問題にならないように、司法書士が贈与の意思を確認します。
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05. 贈与登記の申請→完了
司法書士が法務局へ申請します。
1週間ほどで完了します。完了後の受け取りも司法書士が行います。
依頼者の方が法務局に行く必要はありません。 -
06. ご返却・業務終了
登記簿をとり、間違いなく登記されていることを確認します。
登記識別情報(昔の権利証)を製本し、お渡しして業務完了です。配偶者控除や相続時精算課税を使うときは、贈与税の申告をお願いします。
専門家に任せたいという方には、税理士をご紹介いたします。